2018年4月19日木曜日

熊本・大分復興


1.17、阪神淡路。3.11、東日本。そして4.14。熊本と大分の2県で、関連死を含め267名の犠牲者を出した熊本地震から2年が経ちました。

現在も、約3万8000人が仮設住宅で暮らし、14日、16日の前震、本震によって43,310棟の建物が全半壊しました。

 

国土交通省国土技術政策総合研究所や、国立研究開発法人建築研究所をはじめ、多くの大学等の研究者が現地入りし、日本建築学会九州支部を中心とした調査隊が組織されました。

ゴールデンウィーク前後に、延べ2652棟の悉皆(しっかい)調査が行われた事実は他稿にお任せするとして、1981年、昭和56年6月1日の建築基準法改正を境に、木造住宅の被害状況についてコメントしたいと思います。

それまでの旧耐震基準で建てられた古い家屋は、当然大きな被害を受けたことから、例えば住宅の中に筋かいを入れた壁や、面材料を釘打ちし、耐力壁を必要な量だけ設ける増改築工事をすることを国は推奨し、2000年の法改正時には、柱の上下を留める金物の選び方や留め付け方法を中心に基準がアップされました。

熊本県益城町では、まず1981年以前の古い木造軸組構造住宅が多く、土塗壁に筋かいの接合部の留め付けも不備。更に2階外壁の下に1階の壁や柱がないような配置の不備、木材の生物としての劣化による強度低下・・・・さまざまな要因は全て、阪神淡路大震災の頃から言われ続けている被害要因であって、今回新たに露見したものは一つもないといった報告を読みながら、自分なりに考えてみています。

現在会長として、愛知県内54市町村の空家対策の協定締結調印式等に随時出向く都度、自説を述べさせていただく事としています。

あっさり申し上げましょう。

 宅建業界の各位に、私直樹はアプローチします。

  空家マイスターとか、旧耐震の家屋を有効利用する前提で事を進めておられる。正直私は、土地家屋調査士会を代表して、旧耐震住宅は壊さなければいけないと自説を進言しています。

 空家バンク、空家マイスターと称して、震災時に倒壊するような建物を、安く賃貸したり、仲介手数料の為だけに、安かろう悪かろう住居を斡旋することは、私としては人災の幇助と考えます。

 耐震補強がしっかりなされた家屋。2000年以降の新耐震基準で検査済証を受けた建物ですら、熊本では2652棟の対象中、7棟の倒壊事例があったといいます。

 敷地地盤の局所的なズレによる事例等もあります。

「住宅の品質確保の促進等に関する法案」2000年、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」2009年等、新しい木造住宅の耐震レベルはアップされています。

 しかし、空家問題は、高額な補強、改修をしない限り、全ての昭和56年以前の木造家屋に対する措置なくして、尊い人命に関わる新聞報道はなくなりません。

 

平成30年度。・・・私共の業界は、士業として、世の中と会話しなければなりません。